週間が経つのは早いですね…
先日、名古屋で開催されたセミナーについて報告したいと思います。
「体幹」…セラピストなら、聞いた事がない人を探すことのほうが難しいほど
ポピュラーになったトピックスですが
今回改めて「体幹」について、話をする機会をいただきました。
では体幹ってどんな役割をするかといえば。
「上下肢の連結」
「上下肢の運動の補償」(安定性を供給する)
「内臓の保持」
なんかがそれにあたります。
最初に、体幹が「上肢・下肢を連結する」という考え方は
運動連鎖や筋連鎖の考え方につながると思います。
PNFにもIrradiationという考え方がありますが
基本的に体幹における筋活動が、適切に起こらないと
強い要素を持つ上肢下肢の筋活動がうまく伝わらず
反対側・相反的に筋活動を促すことが難しいと考えています。
(あるインストラクターの受け売りの部分でもありますが・・・
臨床で確認するとなるほどと思いました。)
次に「上下肢の運動の補償」
つまり。上下肢の運動が動く際
そのスタビリティーになるということですが
そこには肩甲帯・骨盤帯の存在が不可欠です。
構造的にも、上肢は下肢に比べて、質量が軽いですし。
広い可動性を確保するために、肩甲骨は2つある点や
歩行をはじめとした移動や、立ち上がりや着座等、
重力の中で身体を動かす動作には
大きな筋出力が必要であり
下肢の運動を支えるために骨盤が、1つであることはうなずけます。
しかし、肩甲骨や骨盤帯の運動は、意識的にできますが
腹部の筋の一部を意識的に動かすのは・・・
一般的には難しいと思います
ヨガの達人ならできそうですが
最後の例に挙げた「内臓の保持」
内臓には重力に反応するGraviceptorという、感覚受容器が存在するそうです。
内蔵は「物を言わない臓器」ともいわれ
「痛みがあったり。おなかが減る」とその存在を感じることができるのですが
どのように動かし、どこにあるのか
自分で認識できない点はおもしろいところだと思います。
いまでこそ、脳科学が進み、脳の責任領域がわかり
脳が運動にどのように関与しているのかわかってきていますが
ほんの数十年前には、わかりませんでした…
しかし、わからなかった中でも
理学療法・運動療法は存在していたので
その当時の概念を参考にすることは
自分の観察力を標準化するのに一役買っています。
その当時の概念とは、
普遍的な原理・身体の特徴等を用い
人の動きを観察・定義付けし、治療技術と融合させた
クラインフォーゲルバッハ女史がその創始者である「機能的運動学」の考え方です。
たとえば普遍的な考え方の1つの例として「重力」があります
1)重力は加速度と引力によって構成され、常に地球の中心に向かっている。
2)重力のおかげで、人は自分の体重を知り、空間での上下がわかるようになる。
3)重力を情報源とする感覚器は何かと考えると
前庭器官であったり、足底の感覚受容器であったり、内臓器であったりする。
4)そういった器官が適切に働くためにも姿勢は
立位・座位といった抗重力姿勢を取ることが必要となる
5)抗重力位をとるためには、筋活動が必要となり
筋に指令を送る神経系が必要となる…
とっても単純な発想かもしれないけど、重力と人との関係を考えると
「感覚器を通じ、情報を収集・処理し、必要な筋活動を促し、活動につなげる…」
といった脳神経系の役割の一部が見えてきませんか?
それらを具体的に解釈が進むように
6)現在わかっている脳・神経系の機能や役割
体型・体質といった運動に影響を与えるであろう身体的特徴に関する知識を
肉付けをしていく
さらに
それをセラピーに汎化させるためには
「課題選択、運動学習・運動制御の理論」も取り入れて、考える必要が生まれてくるわけで…
上記に挙げたのは「重力」をそのストーリーのはじめにもってきた展開で
「視覚」をもってくれば、違うストーリーにもなる可能性は充分に考えられます。
つまり、解釈は一つではなく、幾重にあることが大切であり、自分なりにストーリーを作っていくことがまた、セラピーの楽しみにもつながると個人的に考えています。
最後に
今回のセミナーでは、
自分にできることは「今までの経験から知識やエビデンスをこう使うと
こんな解釈ができますよ」と提案することで
参加者の皆さんには、それを臨床で確認し、検証する作業は行ってもらい
たいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
本セミナーにご協力頂いた
(株)OnziiiActスタッフの皆様
会場提供をしていただいた松井整形外科スタッフの皆様
ご参加いただいた各先生
深謝いたします
Special Thanks
千葉県・みさと健和病院 柳町先生
「大腿骨頸部骨折後の患者さんが抱える体幹の問題」について
ケーススタディーならびに実技指導していただきました
(株)OnziiiACT 阪本先生
「寝返り動作時に、片麻痺患者さんの体幹の使い方」について
ケーススタディーならびに実技指導していただきました。
そして、来年2月にはIPNFAⓇ認定アドバンスインストラクター
松田現先生が訪東海地区の予定です!!
最後に、私ごとですが、次回はEPochさんのセミナーでお話させていただきます。
IPNFAⓇ認定コースをはじめ、ホワイトデール企画研修会は以下のアドレスまで
ホームページ:http://whitedale.jp